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現時点で日本の雇用社会では、解雇に厳しい規制があり、会社が自由にできないようになっています。民法上は、労働者の退職と同様に、会社が労働者を解雇することも自由にできます。しかし、労働法上は、それを修正し、解雇に該当する正当な理由はあるか、理由があっても解雇することが酷ではないかという2点(解雇権濫用法理)を審査対象にしています。
解雇の場合も他の案件と同様、証明する資料、録音などは揃えておくことをお勧めします。ご相談の際はすべてお持ちください。ご自分では関係ないと思った資料でもお持ちください。
雇止めについては、このページの後半で掲載しています。
解雇かどうかを見極めることは、そんなに難しいことではありません。解雇は、使用者、つまり会社からの一方的な労働契約解約の意思表示です。労働者の意思がかかわっていない状態で、明示的に労働契約の解約の意思表示があった場合は、明らかに解雇です。
ただし、その場合でも、解雇通知の書面がない場合で、使用者が明確に解雇という言葉を使用していない場合には、解雇なのかどうか吟味する必要があります。このレベルは労働基準監督署に行っても労働基準監督署は業務外のため検討しませんのでご注意ください。ムリに相談すると、「解雇」と言っていないから解雇に該当しないという場合もあります。
たとえば、
これらの言葉・行為をどうとらえるかは、言われた状況にもよりますので、一概に言えません。ただし、事実を確認して、解雇を意味して言われたと認められる場合がありますので、事実をありのまま詳細にお話し下さい。
就業規則の解雇理由を精査します。
これらに問題があった場合、解雇理由がないあるいは不適切、解雇理由に該当しない、解雇理由にあてはまるほどではないという判断になる可能性もあります。その場合、不当解雇を主張することになります。相談の中で、解雇理由に関して、できる限りそこを見極めます。
労働者の属する理由で主なものは、勤務態度不良、職務上の能力不足、健康を害したに整理できるかと思います。
これらの事実があると会社は解雇理由にしてくるケースが多く、労働問題として表面化した場合には、必ず解雇にした理由として主張してきます。しかし、程度問題なのです。軽度の勤務態度不良、軽度の能力不足などでは、なかなか解雇は正当性が認められません。
たとえば、
などの場合は、不当解雇になる可能性が高いと言えます。
これらに該当する解雇は、民法上は会社に解雇権があっても、労働法が解雇権の濫用がないように厳しいハードルを設定しています。
解雇予告手当を支払えば、あるいは、解雇予告期間を置けば解雇できると誤った知識を持っている会社がたくさんあります。確かに、労基法は、解雇する場合は、解雇予告期間を30日以上設けることを規程しています。30日に足りない分は解雇予告手当を支払えと規定しています。しかし、これは手続きを言っているのです。労基法の定めるこの手続きを行ったからといって、解雇が正当になるわけではありません。
また、試用期間中であれば解雇できると思っている会社もたくさんあります。それも間違いです。解雇が認められる要件は同じです。
さらに詳しいこと、整理解雇(リストラ)については、以下を参照してください。
⇒ 普通解雇タイプ
⇒ 整理解雇タイプ
解雇された場合、あるいは、正式にはわからないが自分で解雇だと思った場合は、解雇通知書を交付するように会社に請求してください。解雇理由証明書でもかまいません。それらが難しい場合は、退職理由証明書を請求してください。
法律によって、会社は労働者に遅滞なく交付しなければいけないことになっています。解雇か退職勧奨か退職強要かわからない場合は、退職証明書に記載された理由が証拠になりますし、会社側の理由のおかしい点も指摘できますので、十分証拠になります。
解雇予告手当や退職金を会社が強引に振り込んでくる場合があります。そのまま何も言わずにいると、会社は、労働者は解雇に異議も言わず、黙って受け取ったのだから解雇を受け入れたとあとで主張することになります。
「解雇の承認」と言う言葉がありますが、これを指しています。そもそも、解雇は会社からの一方的な労働契約の解約告知ですから、労働者の承諾の意思は関係ありません。ここは急所です。それなのに会社は少しでも立場を優位にしようと主張してきます。
めんどうな主張をされないためには、解雇予告手当や退職金が振り込まれた場合、(1)解雇の撤回を求める主張とともにすぐに会社に返金するか、(2)受け取ったうえで、解雇日以降の賃金相当分として充当するものとし、解雇の撤回を求める旨を内容証明郵便若しくは配達証明付き郵便で書面を送ってください。
期間の定めのない労働契約の場合、解雇権濫用法理が働き、簡単に雇用を終了させることができないため、会社が雇用契約の終了をさせやすいとして、従業員数の調整手段として有期雇用契約を利用しています。
会社は、契約期間の終了日が決まっていることで、会社主導で、有期雇用契約を更新せずに、その日で労働契約を終了させることができると受け止めています。基本的な契約の性質は間違っていません。
しかし、労働者からすれば、契約期間があるだけで、会社主導で「もう終わりだよ」というではたまりません。それに、期間の定めのない契約では、解雇権濫用法理のもと、雇用が保障されていることと比べてもあまりにも理不尽です。
多くの雇止めに関する労働問題は、この「契約期間が満了だからもうおしまい」に集中します。有期雇用を会社が更新しないことから更新拒絶と言っています。会社からすれば、契約期間満了による退職(自動退職といいます)であり、労働者からすれば解雇と受け止められます。こここが、雇止めの問題になります。
さらに、便利に人材の入れ替えをする目的で、わざと有期雇用にしておくケースも多く、そこに会社の恣意性が見え隠れします。
有期雇用契約といえども、契約更新の期待が生じている労働者を期間満了で終了と簡単にはできません。また、形式は有期雇用契約でも、実態が期間の定めのない雇用(無期雇用)と変わらなければ、やはり、簡単に終了にはできません。詳細な実態をお聞きしてそこを確認、検討することが雇止め問題を解決する分岐点になります。
詳細は、以下をご覧ください。
⇒ 雇止め退職タイプ
⇒ 派遣切り退職タイプ
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