労働基準監督署等への申告

 

 

 1 こんな場合に労働基準監督署への申告ができる

 

たとえば、

サービル残業をさせられている(残業代を支払わない・正しい金額が付いていない)

休日手当を支払わない・正しい金額が付いていない

深夜手当を支払わない・正しい金額が付いていない

労働時間を改ざんしている

残業がないように、タイムカードの打刻時間が指示されている

労働時間の端数が切られている

休憩時間がない

年次有給休暇を取らせない

外で働くと何時間働いても8時間としかカウントしない

労働時間としてカウントされない時間がある(移動時間・着換えの時間・準備時間など)

健康診断を受けさせてくれない

解雇予告手当を支払ってくれない

業務上のけがや妊娠をしたら、解雇された

給料から会社が負担すべき費用分が引かれている

一定の損害金が約束されている

退職証明書を発行してくれない

出来高払いで、成績が悪いと働いても給料がほとんどない

などなど・・・

 

ここに挙げたのは代表的なものばかりです。労働基準法に違反することは申告の対象になります。

事案内容によりますが、明らかに労働基準法の違反があり、資料も揃っている場合は、労働基準監督署への申告が最も解決が早いと考えられます。ただし、次の点に注意してください。

 

・ 労働基準監督署は、客観的な事実を明らかにする資料などがなく、会社と労働者で言っていることが違うような案件にあまりタッチしたがらない。

・ 労働基準監督署へ行くときは、「相談できました」ではなく「申告できました」と言う。「相談できました」というと新米社労士や臨時職員が出てきて話だけきくというようになる確率が高い。

 

 ⇒ 詳しくは労働基準監督署をご覧ください

 

 労働時間や給与明細の記録があっても、残業代、休日出勤手当を計算するには、法律を知らないとできません。ぜひ、ご相談ください。

 特に、警備業病院等医療勤務(医師、看護師等)タクシー業、日々の所定労働時間が異なるなどの複雑な勤務形態の場合の割増賃金計算にも対応しておりますのでご相談ください。

 

 2 労働者が労働基準監督署への申告することは権利として認められている

 

労働者は、労働基準法に違反する事実が会社にある場合、労働基準監督署に違反内容を申告することができます。「この会社は、労働基準法の○○○○を守っていません」と労働基準監督署へ訴えることができるわけです

 

しかも、労働基準監督署に申告をしたからといって、その労働者を不利益に取り扱ってはいけないことになっています。会社は、労働基準監督署への申告を理由に、給料引下げ(賃金カット)、解雇、退職強要などができないことまで法律になっていますから、労働者が、申告をしたことで不利益となる扱いを受けた場合は、そのこと自体が違反行為になります。

 

参考 労働基準法104条

1項      事業場に、この法律又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督署に申告することができる。

2項      使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

 

なお、「申告したことを理由として」の判別は、会社側が主張する表面的なものではなく、申告と不利益取扱いの因果関係不利益取扱いの客観的な動機などから行うと考えられています。

「行政官庁」は、厚生労働大臣、労働基準局長、都道府県労働局長、労働基準監督署長を意味しており、窓口の代表は、労働基準監督署が一般的で、内容によっては、労働局への申告の場合もあります。

 

不利益取扱いの中身としましては、

● 解雇

● 退職強要

● 労働契約の更新拒絶

● 配置転換

● 降職

● 降格

● 賃金引下げ

● 賞与など一時金における査定差別

などが対象となります。

 

現実に、労働基準監督署に申告をした、あるいは労働基準監督署に行ったことで、仕事外しにあったり、賃金を下げられたり、解雇されたりなどが増加しています。もちろん違法なのですが、ご自分で会社に対応しても水掛け論、話し合いにならない、人間扱いされないなど、会社側の対応が不適切な場合が多いようです。当事務所にすぐにご相談ください。

 

可能ならば、それらの会社の仕打ちに対して、「納得できない」「説明を求める」など異議を申し立てる書面を出しておくことが肝要です。可能ならば内容証明で出すのが適切です。

 

 3 申告の内容・目的は広く認められる

 

労働基準監督署への申告は、労働者自身の権利救済、つまり自身の労働基準法違反事項の申告はもちろんかまいません。それだけではなく、事業場の労働者全般に関するものでもかまいません。

 

代表的なものとして、割増賃金(残業代・休日手当・深夜手当)の未払いは、ご自身だけの場合は考えにくいので、事業場の労働者全体のこととして申告する場合が多くあります。

 

なお、待機時間や休憩時間、手待ち時間、仮眠時間等が労働時間に該当するかという問題の場合は、労働基準監督署に行っても、動きがにぶかったり、結果として回答が得られないこともあります

 

社会保険労務士からの留意点

労働時間や割増賃金(残業代・休日手当・深夜手当)の申告の場合、給与明細、労働時間の記録がないと労働基準監督署も判断のしようがないということになる可能性があります。また、休憩時間、仮眠時間、待機時間が労働時間に該当する場合も、それに関する時間の記録が必要になります。

休憩時間、仮眠時間、待機時間などが労働時間と言えるためには、法的な解釈上は、労働から解放されることを保障されていないと判断できることが必要です。詳しくは当事務所にご相談ください。

労働時間の記録(タイムカードや業務日報など)が会社から複写など持ち出しできない場合は、メモ書きでもかまわないので、手帳や一覧表などで記録を残すようにしてください。

また、ケースによっては、上司にメール送信した時刻、パソコンのログイン・ログアウト時刻、あるいは、スイカ、パスモの改札通過時刻などでも勤務時間の証明を補助することが可能な場合もあります。

※時間の記録を残す場合は、手書きが鉄則。エクセルなどのデジタルデータはいくらでも作成・訂正ができるので信頼度が薄くみられやすく、会社側から反論を言われやすくなります。

ポイントは、拘束時間の始まりの時刻、終了時刻、休憩時間、1日の労働時間、業務内容、外勤の場合は場所などの記録があるとスムーズに勧められます。

 

解雇予告手当の未払いを申告する場合は、不当解雇を争う場合は、安易に解雇予告手当を申告せずに、解雇の違法性を争うことが大切です。

⇒ 詳しくは、普通解雇タイプ「4 解雇の承認」などをご参照ください。

 

 4 その他の申告・請求

 

多くの場合は、上記の労働条件に関する内容の申告が大多数ですが、以下の内容も管轄の行政機関に申告できます。

 

労働基準監督署(労災課及び安全衛生課)へ

  • 業務上のけがなのに、「自分でけがしたことにしてくれ」と健康保険にさせられた。
  • 業務や通勤途上のけがなのに、労災保険の手続きなど何もしてくれない。
  • 業務が原因で病気になったと会社に言っても、会社が何もしてくれない。

 

年金事務所へ

  • 社会保険に入れてくれない。
  • 社会保険が最初の3か月外されている(4か月目から加入)。
  • 試用期間の間、社会保険に入れてもらっていない。
  • 正社員のだいたい4分の3以上の時間仕事をしているが、パートタイマーだからと社会保険に入れてくれない。
  • 急に労働契約の契約期間が2か月以内で更新にされた(社会保険の対象から外す意図か)。

 

ハローワーク(公共職業安定所)へ

  • 雇用保険に入れてくれない。
  • 雇用保険が最初の3か月外されている(4か月目から加入)。
  • 試用期間の間、雇用保険に入れてもらっていない。
  • 週20時間以上働くが、パートタイマーだからと雇用保険の対象から外れると言われた。
  • 離職票の離職理由が違う。
  • 離職票を発行してくれない。

 

社会保険労務士からの留意点

社会保険料や雇用保険料は、法律通りの加入対象者であった場合、給料から天引きされています。しかし、次のような場合も多くありますので注意してください。

 

1 加入になっていると言われたのに給料から引かれていない。

 加入対象ではないはずなのに給料から引かれている。

 給料から雇用保険料が引かれていたので、失業給付の認定に言ったら、雇用保険に入れてもらっていなかった。

4 給料から社会保険料(健康保険・厚生年金)が引かれていたので、年金の請求(裁定請求)に言ったら、社会保険に入れてもらっていなかった。

 給料から社会保険料(健康保険・厚生年金)が引かれていたので、年金の請求(裁定請求)に言ったら、会社が社会保険料を国に支払っていなかった(未納だった)。

 

1・2・3・4は、中小企業に多いのですが、総務などを担当する事務員が存在しない職場にみられます。ハッキリ言って、会社は労働者のセーフティネットをまったく何も考えていません。5も同じですが、5が悪質なのは、従業員のためにコストをかけずに商売のお金優先ということかと思われます。2・4以外は、従業員にお金をかけたくないという企業に多いと思われます。ぜひ注意してください。

 

ご自身で不審に思われる方は、ご相談ください。

 

⇒ セクハラ・パワハラ、退職勧奨・解雇、退職追込み、退職、労災など労働問題について詳しく 

 

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