セクハラ・パワハラがあるが、まだ退職していない場合は、セクハラ・パワハラの態様の見方・考え方は同じです。 

 セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)による退職は多い

近年、セクシャル・ハラスメント(セクハラ)、パワー・ハラスメント(パワハラ)によって、会社を退職せざるを得なくなった事例が増えています。両方ともハラスメントという点では同じですが、セクハラはそのほとんどの事例での被害者が女性である点が特殊です。

セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)による退職も内容によっては、退職への追い込みに該当します。

 

 セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)に該当すると思われる例

セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)は、事案の数だけ、内容も異なって存在します。事案ごとに見ることになりますので、安該当するかしないかについて、安易にホームページ上では言えません。

一般的な例を掲載しておきますが、実際は、内容、程度などいろいろな要素を見なければいけません。

セクハラの可能性が高い例

たとえば、本人が嫌がっているのに次のようなことをされた場合です。

  • 異性関係が派手である、男女関係にあるなどのうわさを社内外に流された。
  • 出張先のホテル・旅館で混浴を強要された。
  • 食事の誘いを断わったら賃金を下げられた。
  • 宴会の席で、ソファーに押し倒す、顔を近づける、手にキスをするなどの行為をされた。
  • すれ違いざま、エレベーターの中などで、体を触られた。
  • トイレなどを覗かれた。
  • 着替えなどを隠し撮りされた。

etc・・・

 

パワハラの可能性が高い例

  • 「給料泥棒」「能無し」などの罵声を浴びせられる、メールが送信されてくることが続いている。
  • 会議室で上司から延々長時間の説教をされる。
  • 指導・教育と称した必要以上の叱責がよくある。
  • 就業規則を書き写す、読み上げるなどが強要される。
  • 会社の外の草むしり、誰もいない倉庫など暇な仕事に配置換えされた。
  • 仕事が徐々に減らされていく。
  • 仕事を与えられない。
  • 自分の報告書だけ見てくれない。
  • 自分にだけ仕事の指示をしない。
  • 退職勧奨を断わったら賃金が半減された、大幅に降格された。
  • 身だしなみを理由に業務を外された。
  • 大人の付き合いを誘われ、断わったら給料を下げられた、仕事を与えてくれなくなった。
  • 病気でたばこのにおいを避けていたのに、扇風機でたばこのにおいなどを送風された。
  • その他、長期間のいじめ・嫌がらせ行為がある。
  • 反省文、始末書、誓約書などの提出をさせられる。

etc・・・

 

これらが労働者の退職に結びつくのは、

セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)が原因で、会社に出社できなくなった、出社しずらくなった、いられなくなった場合です。中には、うつ病などの精神疾患になって、会社を休みがちになった場合もあります。特に、近年は自殺するケースが後を絶ちません。

補足しますと、セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)と精神疾患と自殺の関係では、

● セクハラ・パワハラが原因でうつ病になったか否か

● うつ病が自殺の原因になっているか否か

が重要になります。

 

いずれにしても、セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)に起因して、正常な勤務状態が維持できなくなって、精神的に追い込まれて退職を余儀なくされていれば、その退職は労働問題になります。

退職や自殺に追い込まれる前、あるいは、そのような兆候を感じ取った場合には、できるだけ早く当事務所にご相談にお越しになり、詳細なお話しをお聞かせください。客観的な目線で受け止めることができる専門家に話すことで、まず、精神的なストレスが少し軽くなります気持ちも半減され、少し前向きになっていただくことができます

 

 セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)に該当するかどうかの判断の拠り所

セクハラ・パワハラの問題を難しくしているのは、セクハラ・パワハラに当たることを明確に判断するための法律の規定がないことです。セクハラ・パワハラに該当するか否かの拠り所になる法律は存在しないのです。

それでもセクハラのほうは、職場におけるセクシャル・ハラスメントの内容に関する行政指針が示されているだけ大分違います。パワハラは、2012年にようやく、パワハラにあたると思われる内容について提言がされたばかりです。

行政指針によれば、セクハラは、

労働者の解雇、配転、労働条件について不利益を受ける対価型労働者に関する性的情報の流布、ヌードポスターの掲示など環境型があることが示されています。ただしこれは行政指針であり、加害者や会社に対し、損害賠償を決定づける法規定ではありません

しかも、この行政指針もかなりの大まかな類型を示しているにすぎませんので、実際の行為がセクハラにあたるかどうかは個々にみるしかありません。ご相談の際は、5W1Hとご自身がどのように思ったかが非常にキーになってきますので詳細をお聞かせください。

幸い、一定のレベルでさまざまな裁判例が積み重なって存在していますので、それらを拠り所にみていくことで概ねの見方はできます。

 

⇒ セクハラについてさらに詳しく

 

一方、パワハラのほうは、国が、2012年1月30日付で、パワハラの定義を「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的、身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とまとめています。

2020年6月1日施行(中小企業は2022年4月1日適用)で、労働施策総合推進法がスタートしています。この法律の30条の2では、企業に対し、

  • 労働者からの相談に応じること
  • 適切に対応するために必要な体制を整備すること
  • その他の雇用管理上必要な措置を講じること

を義務付けています。パワハラは、この労働施策総合推進法の領域の問題として、同法の調停が利用できます。労働局で行うあっせんではなく、調停で解決を図る道があります。

また、社内でパワハラの相談や申立をしたところ、退職になった、解雇になった、不当な配置転換を受けた、賃金を減額されたなどの不利益を被った場合には、労働施策総合推進法30条の2の2項により、調停ができます

パワハラに対し、事が起きないように事前の防止対策、事が起きた後の事後対応を行うことが求められています。

また、国はパワハラを類型化し報告しています。パワハラか否かを判断する部分では、国の報告に従いますと、以下の6つに分類できます。主として6類型にまとめているだけで、これがすべてではありません。

 暴行、傷害などの身体を攻撃するもの

 脅迫・名誉毀損・侮辱・暴言などによって精神を攻撃するもの

 隔離、仲間外し、無視などによる人間関係から切り離すもの

 業務上明らかに必要ないことや実施不可能なことを強制したり、仕事を妨害したりして、過大な業務を要求するもの

 合理的な理由もなく、能力や経験と比べてかけ離れた低い仕事を命じたり、仕事を与えなかったりして、過小な業務を要求するもの

 私的なことに過度に立ち入って、個人を侵害するもの

1は、適正な業務の範囲にならないとされます。2と3も、原則は業務の適正な範囲とは言えないとされます。4から6は、何が業務の適正な範囲を超えるかは業種、具体的な状況、行為の継続性・回数などによって左右されると考えられます。

この辺はあくまでも、2012年に国でまとめられた内容ですので、概ねこれに準拠するにしても、実態によりますので法的判断は分かれるところです。ご相談の際は、5W1Hとご自身がどのように思ったかがキーになりますので詳細にお聞かせください。

セクハラと同様に、パワハラに関しても、一定のレベルでさまざまな裁判例積み重なって存在していますので、それらを拠り所にしつつ、上記1から6に該当しうるかどうかをみていくことで概ねの見方はできます。

上記の6類型は、主な行為を類型化したにすぎませんので、6類型に該当しない行為でもパワハラ、あるいは広い意味でのハラスメントに該当する可能性があります。大切なのは、精神的ダメージを受けるような人格権侵害行為にあたるかどうかという点になります。

 

 叱責はパワハラに該当するのか

叱責がパワハラに該当するかどうかは、叱責の目的態様がみるべき大きな柱です。

目的は、叱責そのものが業務上の指導・教育の一環であると言えるのかということです。業務上必要な指導・教育を目的とした叱責でない場合は、違法性の色が出てくる可能性があります。

態様は、叱責のやり方です。悪質な方法や理不尽な方法など、業務に関連して叱責するにしては、超えている方法は違法性の色が出てくる可能性があります。

総合的に、上司として業務に関連して部下を叱ることの裁量の範囲を逸脱していれば、違法性に傾く可能性が高くなります。 

裁判例では、目的と態様の双方に違法性があった場合、50万円、80万円、150万円などの慰謝料が認められていますが、態様に違法性があるだけでは、5万円から15万円と慰謝料は非常に低額です。

⇒ パワハラについてさらに詳しく

 

 セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)問題は何が難しいのか

セクハラ・パワハラの判断の難しさは、3で触れました法的根拠が存在しないことにあるのは当然なのですが、最もやっかいなのは、セクハラ・パワハラの事実行為閉鎖性にあります。

行為の性質からいって、ほかの従業員や人がいるところ、あるいは他人からわかるようには行われないことが多いというのが、セクハラ・パワハラ問題を難しくしています。

宴会で体をさわられた、会議で罵声を浴びせられたなど、一部の例では、会社の同僚が認識しているケースもありますが、多くの例では、被害者と加害者しか存在しない場合が多くあります。

また、セクハラ・パワハラ行為が、職場外で行われる場合もあります。職場外で行われる場合は、行為の時間帯就業時間終了後であるときと行為の場所会社の外であるときがあります。閉鎖性が強く非常に実態を把握しにくいと言えます。

しかし、何も対応策がないわけではありませんので、泣き寝入りするしかないのかとあきらめないでください

会話などを秘密に録音することが違法だと言われないかご心配の方は以下の代表のブログをご参照ください。 

 ⇒ 上司との会話を勝手に録音した録音資料は有効か(その1)

 ⇒ 上司との会話を勝手に録音した録音資料は有効か(その2)

 

 セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)で労働者がやるべきこと

セクハラ・パワハラは労働問題の中でも白黒つけにくい、特にグレーな部分が多くなります。可能な限り、記録を残すことに尽きます。記録があるからセクハラ・パワハラに該当するわけではないのですが、何もなければかなり難しくなります『ハラスメント・ノート』を1冊設けて、可能な限り記録を5W1H(いつ、どこで、だれが(から)、何を、なぜ、どのように)で手書きで書いてください。過去の分も思い出せる内容は、書きだしていきましょう。思い出したくないというのはよくわかります。だからといって、記録を作成しないと何もわかりません。口頭だけではなかなか信憑性が得られない可能性もあります。がんばりましょう。少なくとも、相談レベルでは把握しやすくなります。

 

労働者のやるべき対応

 5W1Hで時系列に出来事を詳細に記録化する。

できれば画像に残す、できれば音声に残す。難しい場合は紙(日記・メモなど)に残す。

メール・LINEが関係している場合は、発信者、日時、内容、送信した範囲(対象者)最低限記録する(プリントアウト)しておく。

 ※ プリントアウトが難しい場合は、メール・LINEの画面を写真に残し、内容は一字一句メモする。

 ※メールの場合は、これだけでは足りません。言葉やセンテンスが赤やゴシック体、大文字など強調の意図で表現されている装飾がある場合は、表現方法として、その部分は特に忠実に記録する必要があります。

可能ならば、セクハラ・パワハラ行為をやめるように内容証明郵便を送付しておく。

ハラスメントに共通していえるのは、証拠を担保することが難しいことにあります。したがって、あなたの供述にいかに信憑性を担保させるかが重要です。あなたの供述の信頼性で決まると思っていていいかと思います。供述の信頼性を確保する有効な手段として、日々、ハラスメント・ノート事実を詳細に記録してください。まるで、小説を書くようにです。そして、その行為の時、あなたがどう思ったかまで記録してください。これが非常に重要です。 

会社が対応してくれるかどうかは一切考えずに、とにかく、会社のハラスメント対応部署、担当者、人事に対し、ハラスメントがあったことを書面で申告する(書面は必ずコピーを残す)。 

 

 セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)の損害賠償

セクハラ・パワハラ(いじめ・嫌がらせ)問題の場合、損害賠償と言ってもその実態によって違ってきますが、内容によって以下の場合で損害賠償の対象になる可能性があります。

加害者の行為でみた場合

  • 会社の従業員による加害行為の場合
  • 会社の組織で行い組織による加害行為の場合(職場八分など)
  • 会社の従業員による加害行為、あるいは、組織による加害行為で、それを社長が知っている場合

があります。

それ以外の職場環境でみた場合

  • 会社の従業員による加害行為、あるいは、組織による加害行為を所定の部署あるいは担当者に通知したのに、会社として対応をしなかった
  • セクハラ・パワハラ行為が起きないように、会社として対策を講じていなかった場合
  • 上記の混ざり合った混在する場合

があります。

 

裁判を例に損害賠償請求のパターンとしては、

従業員が加害従業員に対して損害賠償をすることができるか、会社に対して損害賠償をすることができるかを検討することになります。

加害行為者に対する損害賠償は、民法の不法行為(場合により共同不法行為)を根拠とすることになりますが、会社に対する損害賠償は、加害行為が業務に関連して行われたと認められる場合に、使用者責任による損害賠償、そうでない場合には、職場環境を維持する義務に違反したとする損害賠償が考えられます。

基本的な損害賠償は概ねこのようになりますが、具体的には個々の事案ごとに違ってきますので、ご相談ください。何をどう損害賠償できるのか、なかなかわかりにくい場合もご相談ください。

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