サービス残業・長時間労働

 

 1 現代社会にサービス残業が横行する背景

 

日本の雇用社会は、雇用維持の努力をするより、手っ取り早く人員の余剰状態を作り、人員削減の理由を正当化する経営手法に変わっています。終身雇用と年功賃金が保障されていたからこそ、残業にも泣き寝入りし、労働問題が顕在化しなかったのです。

 

しかし、今は完全に違います。終身雇用と年功賃金の影も形もありません。簡単に理由をつけて人員削減を行います。業務量は減ることはありませんから、少ない人数ゆえに残業が多くなるという構図です。それでも、雇用が維持されるだけましと、サービス残業に目をつぶっている労働者。退職していない状況では残業代の支払要求もできないわけです。

 

置かれている状況は、ともかく、こてこての法的概念をぶつければ、法的労働時間外に労働したら、割増の賃金を請求することは労働者の権利です。企業は、割増賃金を支払わずに済む知恵のみを使い、合理的に残業のない体制を整備することを考えない傾向にあります。

 

●残業代、深夜手当などの割増賃金を請求できるのではないかと真剣に思っている労働者の方

あるいは、

●割増賃金が請求できると思っていなかった、気にしていなかったが、このページを読んで請求できるのではないかと思った労働者の方

そのような方は、休憩時間に休んでない待機時間の賃金が未払いタイムカードは定時で打刻を命ぜられる深夜時間(22時−5時)に働いているのに同じ給料しか支払われていないなどの「おかしい」と思う状況下にある場合は、ぜひ相談してください。

 

労働の実態を法的に把握して、気になっている時間が労働時間に該当するかどうかを検討させてください。そこが出発点です。

 

実際に残業代を払ってほしいと真剣に思った場合は、以下にすべて整理してありますので参考にしてください。

 

 2 労働時間の記録が存在することが重要

 

とにかく、何があろうと労働時間の記録が何らかの形で資料として必要になります。労働基準監督署への申告をする際も必須です。

 

労働時間の記録は、タイムレカード、ICカードの記録、業務日報、パソコンの電源オンオフ時刻、上司への業務終了メール送信の軌跡、パスモなどによる駅改札通過時刻の記録、会社のパソコンの時間管理システムへの入力記録などが一般的に使われているパターンです。

 

上記による方法で会社に記録されている時間が、相談者が主張されている時間を示している場合は、会社の記録を入手してもらうことで足ります。しかし、そうでなかった場合で、相談者が主張する時間が正しいのならばその時間を記録した資料が必要になります。

 

会社の管理する時間が普段から真正でないことをご存知の場合は、手帳にメモで残しておきましょう。これは日々行ってください。ちなみに、当事務所は、会社に時間の記録があっても、ふたを開けたらそれは真正な時間になっていないことも考えられるため、会社の実態に関係なく労働時間は自分で手元に(手帳など)記録を残すように助言しています。

 

最近多いのが、15分、30分などを超えた時間を会社が記録上カットしてしまい、それを労働者が当たり前だと思っているケースです。

● 19時23分で終了すると、タイムカードがそう打刻してあっても、19時15分にされている。

● 19時29分で終了すると、タイムカードがそう打刻してあっても、19時00分にされている。

● 実労働時間が、8時間24分になったが、8時間にされている。

これらはすべて違法です。日々の時間は1分たりとも切り捨てることは許されません

 

 3 労働時間の範囲の把握

 

次に、業務実態をお聞きします。朝礼の有無、体操の有無、着換えの有無、仮眠時間の有無、待機時間に有無などとこれらの実態、労働時間に含まれているのか除外されているのか在宅勤務や外勤の場合の自宅からの移動時間、顧客から顧客への移動時間はどう取り扱われているのか、始業・終業はどうやって把握しているのかなど実態に基づいて判断していきます。

 

同時に、就業規則の取り決めがどうなっているかを見ます。就業規則が入手できない場合は、労働慣習としての会社の労働時間の取扱いを把握します。また、在籍する会社が小規模企業で就業規則がない場合は、他に時間の取り決めがされているもの労働契約書や労働条件通知書、会社の壁に貼ってある労働時間の明示の張り紙の写真など)により把握します。

 

※豆知識

10人以上の規模で就業規則がない場合、規模に関係なく労働時間の把握をしていない場合は、どちらも法律違反ですのでその点も残業代と合わせて申告しましょう。

会社が言う労働時間の始まりが、就業ではなく業務開始になっていたり、残業があるのに、たとえば18時で切られていて以後の労働はないことになっていたりする場合も、実労働時間の資料を示して申告しましょう。

 

 4 労働時間に基づく賃金の算定根拠

 

算定にあたっては、就業規則等が合理的であると判断され、実態もそれに沿っていると認められる場合は、それにしたがって算出します。しかし、就業規則の内容と食い違っている場合などは、実態に従って算出すると同時に就業規則に合理的根拠が欠けていることを指摘します。

 

また、以下のように会社が言ってくる場合があります。

  • 基本給や○○手当に残業代が含まれていると言っている。
  • 固定残業代を支払っていると言っている。
  • みなし労働時間制にしている、あるいは、かってにそう言っている。
  • 管理監督者なので残業代は発生しないと言っている。

 

これらは、実態が真実そうなっていればいいのですが、残業代の支払いを免れるために言っている場合もあります。この点は注意しましょう。相談の際には、このように言っていることも必ずお聞かせください。次のことを判断します。

 

基本給や○○手当に含めて支払っていると仮定しても、いくら、何時間分の残業代なのか不明である。

固定残業代はついているが、実労働時間から算出した金額に不足している。

みなし労働と言っているが、法的に見なし労働と認められない実態にある。

管理監督者と言っているが、法的に管理監督者と認められない実態にある。

 

 5 特殊な残業代算出の留意点

 

ア 基本給や○○手当に固定残業代が含まれている場合

1番目に、就業規則やそれに代わる内規、労働条件通知書などに、固定残業代××時間分を含むと明示されていれば、それにそって運用することは違法ではありません。従いまして、そのような明示がされているか、規定になっているかをみます。

 

2番目に、上記の場合でも、通常の賃金に該当する部分と時間外労働・深夜労働・休日労働に該当する部分が判別できるようになっているかどうかをみます。

 

3番目に、実際の実残業労働時間で計算した金額と定額残業代の金額を比較して、不足していないかをみます。

 

イ 歩合給(出来高給)の場合

賃金が歩合給で支払われている場合は注意が必要です。残業代の時間単価の算出方法が違ってきます。出来高給以外に次の式で算出した割増賃金が支払われていなければなりません。

 

 当月の歩合給 ÷ 総労働時間数 × 0.25 × 時間外労働時間数

 

 6 残業代の請求方法

 

ア 労働基準監督署への申告、労働局や労働委員会のあっせん

 ポイントは、労働基準監督署に申告をするということは、労働者から会社へ請求をしたが、会社が払ってくれないという事実が必要になることです。口頭で会社に請求した場合は、支払いを求めた日時、相手の役職・氏名、会社の反応などを記録しておきましょう。書面で請求する場合は、内容証明郵便で請求するか、最低でも、配達証明付き郵便で請求しましょう。

 

また、労働者が自分で会社に残業代の請求を起こす場合は、労働時間の範囲、労働時間数の把握、残業代の計算などサポートいたします。特に、残業代の計算は、かなり細かい計算になりますので、特定社会保険労務士をご活用ください。

 

労働局や労働委員会のあっせんを活用することもできますが、残業代の支払要求に関しては、労働基準監督署の方が解決が早いと思われます。残業代の金額確定以前に、労働時間なのか否かで会社の反論が予想されるなどの場合もあります。その場合、事案内容によっては、あっせんの方が合理的に解決できることもありますが、会社側が解決の場所に出てこない可能性が高い場合は、労働基準監督署へ申告することも一案です。

あっせんや労働基準監督署への申告は、特定社会保険労務士が代理人として活動します。

 

イ 簡易裁判所への訴訟

訴額、つまり、支払いを求める残業代が60万円までは簡易裁判所の少額訴訟が適しています。簡易訴訟で1日で結審しますので、本人訴訟で十分対応可能です。

 

ご希望の場合は、60万円以内かどうか残業代の算出・確認訴状の原案の作成提出資料の準備予想される会社の反論に対する対応などについて事前にサポートいたします。

 

60万円を超える金額で140万円以下の場合は、簡易裁判所の通常訴訟になります。本人訴訟でも対応できますが、代理人をご希望の場合は、弁護士のほか、認定司法書士でも代理人ができます。ただし、認定司法書士が労働法に熟知し、残業代の算出ができるかどうかはよく確認されてから依頼されることをお勧めします。

 

訴訟を使うメリットは、本人が請求すると裁判所が残業代と同額の付加金の支払を会社に銘じることができる点です(労基法114条)。

 

 7 その他の知っておくべきこと

 

労働時間については、会社は、1日8時間、1週40時間までしか労働者を指揮命令下に置くことはできません。仕事があるからといって自由にはできないのです。

 

ただし、例外として、適正に手続きされている変形労働時間制36協定の範囲内では、合法的に指揮命令下に置くことが可能になっています。これらとの関係が気になる場合は、個別にご相談ください。例外の方法を取る場合でも残業代の未払いが生じている可能性はあります

 

たとえば、18時以降は残業がつかないことは、採用面接で会社は労働者に説明し合意をとっている、あるいは、入社後も説明し合意をとっているという状況にあっても、法律違反を合意しても法律違反は消えません。その合意は無効になり、労働基準法の規定が強制的に当てはめられます。これは、休日労働、休憩、深夜労働などに関しても同じです。

 

労働時間に関する、拙者ブログ「労働問題の視角」の以下のページもご参照ください。

 ⇒ 会社が記録する労働時間はインチキだらけ、時間は自分で管理を!

 ⇒ 「事業場外みなしと考えています」と弁護士の惚けた反論

 

 ⇒ 他の労働問題についてみる

 

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